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部活動地域展開に関わる様々な問題点

部活動地域展開の壁


「1,000円もするんですね。営利のチラシは配れないかもしれません」

ある小学校へコンサートのチラシを持って行った際に言われた言葉です。

思わず耳を疑いました。

今回は少し真面目なお話です。

「ジャズフォーキッズinぎふ2026」には、部活動の地域展開が進む中で、行政や学校だけでは難しいことを民間の立場から支えていきたいという目的があります。

そこで避けて通れないのが、「お金」の問題です。

「有料=営利」なのか?

今回チラシを持って行ったのは、教育委員会の後援を取得していない地域の小学校でした。ただし、その学校の卒業生が今回のステージに出演します。

そこで冒頭の、

「1,000円もするんですね。営利のチラシは配れないかもしれません」

という言葉が出てきました。

チラシを手に取ってすぐの発言だったこともあり、事業の目的や収支を確認したうえで「営利」と判断されたわけではないと思います。

そして、コンサートやイベントを企画・運営した経験がなければ、その裏側にどれだけの経費が必要なのか分からないのも無理はありません。

だからこそ、運営する側から発信していく必要があるのだと思いました。

今回の公演は助成を受けているため、入場料を1,000円に抑えています。

しかし、出演料、会場費、音響費、広告宣伝費、印刷費、交通費、人件費……。

同規模の公演を通常の興行として開催すれば、3,000〜5,000円程度のチケット価格になっても不思議ではありません。

仮に、

1,000円 × 1,000席 = 100万円

の売上があったとしても、今回の事業経費の半分にも届きません。

それでも「1,000円取るから営利」と判断されるのであれば、少し疑問が残ります。

念のため岐阜県教育委員会の後援基準を確認してみると、対象事業の条件には、

「営利を目的としないもの」

とあります。

一方で、「有料事業は不可」「入場料を徴収してはいけない」という記載は、少なくとも公開されている基準には見当たりません。

「有料」と「営利目的」は、本来別の話です。

ところが、これまで行政とやり取りしてきた経験でも、現場ではまだ「有料=営利」という捉え方に出会うことがあります。

近年はSDGsなどを通じて「持続可能性」という考え方が社会に浸透してきました。

文化活動についても、

「無料=善、有料=悪」ではなく、「どうすれば活動を持続できるのか」

という視点が、これからますます必要になるのではないでしょうか。

民間に移行したら、誰がお金を出すのか?

これは部活動の地域展開にも直結します。

学校や行政には税金という財源があり、学校の部活動では、それを背景に部員が比較的少額の部費を負担することで活動できてきました。

では、それを民間の地域クラブへ移行したとき、同じことができるのでしょうか。

指導者への謝金、会場費、保険、交通費、事務局運営費……。

特に音楽の場合は、さらに楽器、楽譜、消耗品、修理・メンテナンスなどが必要になります。

学校の吹奏楽部などでは、「学校の楽器を借りる」ことを前提に始められた子どもも少なくありません。

これをゼロから民間で立ち上げる場合、

楽器は誰が用意するのか?
楽譜は誰が購入するのか?
指導者への対価は誰が負担するのか?

という問題が出てきます。

すべてを低額な部費だけで賄うのは、簡単ではありません。

一方で、受益者負担を大きくすれば、今度は経済的な理由で参加できない家庭が出てくる可能性があります。

だからこそ行政による支援と、民間が自ら収入を生み出して活動を継続する仕組み、その両方が必要だと思います。

もう一つの壁、「チラシ配布」

今回のコンサートでは、活動そのものをより多くの子どもたちに知ってもらうため、市町村をまたいで学校へのチラシ配布をお願いしています。

そこで、もう一つの壁にぶつかります。

これまで何度も学校や教育委員会とやり取りしてきましたが、よくこんな状況になります。

教育委員会
「後援がなくても、配布するかどうかは各学校・校長の判断です」

学校
「教育委員会の後援がないと配布できません」

制度上「教育委員会の後援が絶対に必要」と決められているとは限りません。

しかし実務上は、学校側が判断するための材料として教育委員会の後援を求めることが多く、結果的に後援を取得していない地域では広報が非常に難しくなることがあります。

そして活動を県全域へ広げようとすると、

「○○県教育委員会」
「○○市教育委員会」
「△△市教育委員会」
「□□町教育委員会」……

と、市町村ごとに後援申請を重ねることになりかねません。

子どもたちの文化活動を「学校から地域へ」と移していく一方で、活動を知らせるための仕組みは、依然として行政区ごと・学校ごとの判断に大きく依存している。

ここにも、部活動地域展開を進めていくうえで考えるべき課題があるように感じています。

「地域へ移す」だけでは続かない

部活動地域展開は、単に活動場所を

学校 → 地域

へ移せば完成するものではありません。

「誰が運営するのか」
「誰がお金を負担するのか」
「子どもたちにどうやって活動を知らせるのか」
「家庭の経済状況にかかわらず参加できる仕組みをどう作るのか」

こうした部分まで含めて考えなければ、本当の意味での「持続可能な地域展開」にはならないと思います。

民間が担うのであれば、適正な対価を得ながら、それでも子どもたちが参加しやすい仕組みを作る。

「お金を取る=営利=教育にふさわしくない」ではなく、

「何のためにお金を集め、何に使い、どう活動を継続していくのか」

を見ることが、これからの文化活動には必要なのではないでしょうか。

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